正確なKPI (Key Performance Indicator) /指標を追跡することは、Eコマースのパフォーマンスを正確に測定し、またその結果に基づきパフォーマンスを向上させるための意思決定を行うのに役立ちます。 しかし、最も重要なKPI/指標は何でしょうか。Eコマースのパフォーマンスを測定するための唯一かつ最も重要な指標はありませんが、ECサイトのパフォーマンスを監視する際に注意深く追跡すべきいくつかの重要な指標があります。以下がその例です。
- コンバージョン率 (CVR: Conversion Rate)
- 平均注文額 (AOV: Average Order Value)
- カゴ落ち率 (Shopping Cart Abandonment Rate)
- リピート購入率 (Repeat Purchase Rate)
- 顧客生涯価値 (CLV: Customer Lifetime Value)
- 顧客獲得費用 (CAC: Customer Acquisition Cost)
- トップセラー (Top Products Sold)
- 直帰率 (Bounce Rate)
これらの指標は、決められた順番で並んでいるわけではありません。この記事では、それぞれの測定値をどのように取得するか、なぜそれが重要なのか、そしてそれらの数値や傾向からどのようなヒントが得られるのか、また対策として何を検討すべきなのかに焦点をあてて行きたいと思います。
どこで各指標の値を取得できるのでしょうか?
Google Analyticsです。 Google Analyticsのアカウントを作成し、Google AnalyticsでEcommerce Trackingが有効になっていることを確認します。そして、Ecommerce TrackingコードをECサイトに追加します。全ての設定が完了したら、ECサイトのパフォーマンスに関するデータの収集が開始します。設定に問題がある場合は、弊社がお手伝いさせていただきますので、ご遠慮なくお問い合わせください。
コンバージョン率 (CVR: Conversion Rate)
コンバージョン率(CVR)とは、Webサイトに入ってきた合計のアクセス数(別名セッション数)のうち、購入に至った人の数のことを指します。つまり、そのアクセスから売り上げた数です。例えば、あなたのECショップに1000件のセッションがあり、45件の注文を得た場合。上記の計算式で計算すると、45/1000=4.5%となります。一般的なECサイトのCVRは2%~3%に収まりますが、これは業種によって差があります。
もし、Webサイトが多数のアクセス数を獲得しているにもかかわらず、コンバージョンが低い場合は、Webサイトのインターフェースが悪い、ページ速度が遅い、行動喚起(CTA)が不正確など、Webサイトがコンバージョンに関する問題を抱えていることを暗示している可能性があります。その際は、Webサイトを注意深く見直し、顧客の視点で考え、Webサイトを最適化する方法を探す必要があります。
一方で、Webサイトのアクセス数を十分に獲得できていない場合、有料広告や自然検索、またはその両方を用いて、より多くのアクセスを誘導する方法を探さなければなりません。
*ウェブサイトの最適化、コンバージョンの最適化、オンライン有料広告についてお困りの方は、弊社までご連絡ください。
平均注文額 (AVO: Average Order Value)
平均注文額(AOV)とは、ECサイトで顧客が消費する平均金額のことを指します。この指標は、収益を正確に測定し、長期的な目標を設定し、マーケティングの予算を立てるのに役立ちます。例えば、AOVが50ドルで、その月の目標売上が10,000ドルの場合、少なくとも200人の顧客を獲得する必要があります。この売上目標の達成を加速させるためには、AOVの増加を検討し、クロスセル、アップセル、まとめ買い割引、クーポンなどの一般的な戦略を実施することが大切です。
カゴ落ち率 (Shopping Cart Abandonment Rate)
カゴ落ち (Shopping Cart Abandonment Rate) とは、顧客がオンラインでショッピングカートに商品を追加し、購入に至るまでのプロセスを完了しないことを意味します。この指標を記録することで、購入までのプロセスを改善するために取らないといけない必要なアクションがあるということを警告してくれます。なぜなら、通常、ショッピングカートを放棄する人は、製品に興味を示しているが、支払い方法の選択肢が限られている、追加費用が発生する、サイトの速度が遅いなど、購入を完了するのを妨げる何らかの要因がある可能性があるためです。
この数値が高ければ高いほど、より多くのカゴ落ちが発生したということになります。しかし、カゴ落ち率は69.75%から85.65%の間に止まるのが一般的で、95%から100%の間になった場合のみ、赤信号が点灯します。
リピート率 (Repeat Purchase Rate)
リピート率とは、同じECサイトで2回以上購入した顧客の割合のことです。リピート率が高いということは、そのEコマースビジネスは持続可能であり、成長できる可能性があるということを示しています。
業種によって異なりますが、平均するとリピート率は20%~30%の間に収まっています。もし20%を下回る場合は、顧客満足度が低いということが考えられます。そのため、ECサイトのカスタマー・エクスペリエンス(CX)に目を通すか、アンケートを実施し、購入後のアフターサービスも含めたカスタマー・エクスペリエンス(CX)を改善する必要があります。同時に、過去の顧客の再ターゲティングに時間を費やすことも必要です。例えば、有料広告を利用すれば、顧客やウェブサイトの訪問者まで再ターゲティングすることができます。リピーターを獲得するためのコストは、新規顧客を獲得するよりも低いため、顧客維持のための努力は侮れません。
しかし逆に、リピート率が50%を超えると、新規顧客の獲得が少なくなり、長期的視点で見た時にビジネスに影響を与える可能性があるので注意が必要です。
顧客生涯価値 (CLV: Customer Lifetime Value)
顧客生涯価値(CLV)とは、顧客1人あるいは1社の顧客が取引を開始してから終わるまでのライフサイクル全期間で、その顧客が企業にもたらした価値の総額を表す指標です。この値は、製品や産業によって異なります。ECストアで異なるカテゴリーの製品を販売している場合、まずカテゴリーごとに顧客をセグメント化し、各セグメントに計算式を適用することをお勧めします。リピーターの数が多ければ多いほど(50%を超えない)、顧客生涯価値(CLV)は高くなります。この指標は、特にサブスクリプションビジネスにとって重要です。
この指標を使えば、価値の高い顧客を見出すことができ、また同様の顧客を獲得する可能性を最大化するためにマーケティング活動を調整することができます。さらに、顧客獲得や顧客維持にどれだけ投資をするのが適切なのかを判断することも可能です。
顧客獲得費用 (CAC: Customer Acquisition Cost)
顧客獲得費用(CAC)は、新規顧客を獲得するために費やす平均的なコストを示しています。収益以上のコストがかからないよう、この指標を注視する必要があります。CACが顧客生涯価値 (CLV) よりも高い場合、そのビジネスは赤字ということになります。その場合、解約が起こる原因を分析し、解決策を見出すことから始め、解約率を下げる方法を見つける必要があります。
トップセラー商品
この指標によって、最も人気のある商品(最も収益を上げている商品、数量的に最も多く売れている商品)を知ることができます。その結果に基づき、在庫を予測・管理し、異なるオプションをつけた類似品などの新しい商品を作ったり、まとめ買い割引をつけたりして、お客様により多く購入してもらえるよう工夫し、売上を増やすことができます。
直帰率
ECストアの直帰率とは、サイト上で1ページだけ閲覧し、それ以上のインタラクションなしに離脱したサイト訪問者の割合です。直帰率が高いということは、ユーザーエクスペリエンスが低い、またはお客様の期待に応えられていないことを示しています。例えば、ウェブサイトに初めて辿り着いたとき、ウェブサイトに圧倒されていると感じたり、ウェブサイトに魅力を感じなかったりする可能性があります。
ECサイトの平均的な直帰率は、20%から45%の間で、可能であれば、この範囲内、あるいはそれ以下に抑える必要があります。直帰率を下げるには、次の点を確認して下さい。
・ウェブサイトは欲しい情報を見つけられるよう、見やすく使いやすい作りになっているか
・サイト訪問者の期待に沿った作りになっているか
・サイト訪問者を圧倒させるデザインや構造になっていないか
・ページの読み込みはスムーズか など
つまり、サイトに訪れる人の立場に立って考え、ECストアでのショッピング体験を促進するために、できる限りのことをしなくてはいけません。